これを見ればあなたも柿渋マスター!柿渋の効果や歴史をご紹介

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みなさんは、「渋柿」と聞いてどのような印象を持つでしょうか? 急にしかめっつらをしてしまう人もいるのではないでしょうか?あの独特の渋味は、一度食べたら忘れられませんよね。もともと、柿という果実は昔から日本人に愛されてきたもの。よく、日本昔話などの一シーンには必ず登場してきました。

そんな柿のうち、渋味の特に強いものを渋柿と呼びますが、この渋柿をさらに加工したものも、古くから人々の間で親しまれてきました。

柿渋は実に多くの効果があることから、昔から色々な用途で使用されてきました。塗料や染料などのほか、最近では薬効も注目されています。柿渋は、もともと漢方薬として使われてきたといわれています。この薬効について、現代では科学的な研究が行われているのです。

身体に良いけど、不味すぎる柿渋の正体とは?

身近にスーパーで売られており、果物として良く食べられる柿。農家だけではなく一般の家庭でも植えられているので、自宅や近所に木があって秋には柿が実っているのを見ることも多いはずです。

柿には渋柿と甘柿があって、柿渋とはその名の通り、渋柿の渋み成分を搾り出した果汁のことをいいます。柿渋とは、渋味の強い渋柿の果実を搾り、長時間熟成させたもの。

いってみれば、渋柿の天然果汁です。

渋柿はあのオレンジ色になる前の、実がまだ青いうちのものを使用します。

そして搾って得た液体を寝かして発酵させるのです。そうしてできるのが、茶色いドロドロとした液体です。

本来は甘柿にも渋み成分はありますが、実が熟成するにしたがって渋みが抜け、そのまま食べられる甘柿として出荷されていきますので、運が悪くなければ普段は渋い柿を口にすることはないでしょう。

柿渋とは渋柿のまだ未熟な果実を粉砕し、圧搾して出た汁を発酵させ、さらに熟成することで得られる液体のことです。

この柿渋は、なんと古くは平安の末期から親しまれてきたというのです!

しかも、人々の生活には欠かすことのできないものとして、色々な用途で使われてきました。

例えば、身近にある和紙や木製品に塗ったり、麻や木綿などを染めたりと、農村や漁村の生活では欠かせないものだったのです。

柿渋の渋みの正体

この渋みは、タンニンという物質の性質で、口に入れたときタンニンが唾液で溶けて渋みとして感じます。タンニンは多くの植物に含 まれており、ポリフェノールの一種で特に珍しい物質でありません。むしろ、ポリフェノールはあまりにも有名ですね。抗酸化作用からブームとなり、ポリフェノール入りの 食品が多く登場しました。

お茶が渋いのもタンニンですし、身近なところでは同じ果物であるバナナにも入っています。黄色く熟したバナナには渋みがないですが、青くて固いガ リガリのバナナは少し渋みを感じます。また、バナナの白い筋を食べると渋いですし、皮が渋いのもタンニンが含まれているからで す。

タンニンを含む食品を口にしたとき、唾液で溶けて舌で渋みを感じるのは、タンニンが水に溶ける性質(水溶性)を持っている証拠で、水に溶けない状態で口に入れば渋みを感じることはありません。

この性質から、水溶性のタンニンを不溶性の舌で感じないタンニンへ意図的に変えるのが、柿の持つ渋みを取り去る、いわゆる「渋抜き」です。

柿タンニンの存在が知られていなかった古い時代から、柿を干すと渋みが抜けることは知られており、柿タンニンが渋みの原因であると判明した現在では、干すだけではなくアルコールや炭酸ガスを使って人工的に渋みを抜く方法があります。

加齢臭や体臭が気になる方は試してみたい成分

その一方で、柿の渋みは食味としてはよくないながらも、柿タンニンは様々な効能があることは知られており、古来から渋柿を搾った柿渋が利用されてきたのです。先人達の知恵はすごいですね。

柿タンニンは平安時代より様々な用途に使われてきた日本独自の材料のひとつです。

少し前までは発酵によって発する悪臭がしましたが、今はそんなことはなく無臭にする技術が開発され、無臭で柿渋成分を使用することが可能となりました。

柿渋に含まれる柿タンニンという成分がとても消臭効果が強く悪臭のもとになる物質を臭いのない物質に変化させてしまう力があると言われています。
タンニンというと緑茶タンニンが有名ですが緑茶タンニンと比較してその消臭効果はなんと数倍柿タンニンが高いといわれているのです。
自然の化学反応を起こし、悪臭を無臭にするので、柿渋入りの石鹸やシャンプーを使用することにより、体臭が気になる人が高い効果を得ることができるのです。

柿渋は今までにさまざまな使用をされてきました。
家のはしたや樽、桶などの塗料や衣服の染料などに使われてきたり、高血圧やしもやけに効くともされ民間の薬などにも使用されてきました。柿渋はいろんな効果があるのですね。
でもその中でも今注目が高いのが臭いに対しての効果でしょう。

柿渋の歴史はとても古く、10世紀ごろから使われていたとされ、古くは平安時代から使用されてきました。

▼塗料や染料、治療薬などにも

この柿渋が平安時代から利活用されていたとすれば、柿そのものはいつから利用されていたのでしょうか? 古くは、弥生時代の遺跡から、炭化した柿の種が出土しています。平安時代の記録にも、すでに干し柿として食べられていたことが残っているといいます。江戸時代の後期の「本草綱目啓蒙」には、200余りもの品種があると記されており、日本には昔から多くの柿の種類に恵まれていたようです。

この柿のうち、渋柿を原料とする柿渋。塗料や染料のほか、治療薬としても利用されていたと伝えられています。

この治療薬としては、まず収れん効果があり、皮膚を保護してくれるのだそうです。よって、火傷やしもやけ、虫さされなどに塗られてきました。さらに、高血圧や脳卒中、さらには歯周病予防など、民間医療の立派な薬としても服用されていたと伝えられています。

▼防水・防腐効果

柿渋には防水・防腐効果もあります。昔から、柿渋は日常の周りの木製道具や農具などに塗られたり、和傘やうちわ、漆器などにも塗られたりしてきました。これは柿渋の防腐効果や、乾くと防水効果のある性質が活かされているものです。

もちろん、今私たちの身のまわりにある、防水・防腐効果のある素材と比べれば劣りますが、当時からすれば、柿渋が容易に安価で手に入れられたことが、広く利用されていた由縁のようです。

近年では、家の木材に塗ることで、防虫防腐効果や防水効果が得られることから、シックハウス対策としても見直されており、実際、重要文化財などにも利用されているようです。

▼消毒効果

この柿渋には、なんとあの胃腸炎で良く知られるノロウイルスにも効果を発揮するといわれています。
ノロウイルスは、とても感染力が強いため、集団感染が多いことで知られています。このようなノロウイルスの感染を防ぐためには、徹底した手指の消毒が大事だといわれています。

このノロウイルスの抗ウイルス効果についての実験結果によると、柿渋がその他多くの植物由来成分と比べて、柿渋が最も強い抗ノロウイルス作用を示したといわれています。わずか30秒程度で、十分な消毒効果が認められたそうです。

ノロウイルス以外の非エンベロープウイルスすべてに対する実験については、柿渋は見事に抗ウイルス効果を発揮したといいます。さらに、インフルエンザウイルスを含むエンベロープウイルスについても同様のようです。

このことから、柿渋は非常にオールマイティーな消毒効果を発揮する成分だといわれています。

柿渋は生活の中で、どう利用されていた?

柿渋は、古くから人々の生活の中でどのように使われてきたのでしょうか。

柿渋を塗ると、不溶性の強い皮膜を作りだすため、防水・防腐効果がもたらされるといわれています。このことが、塗料や染料として使われてきた理由の一つのようです。農村や漁村では、漁網や酒袋などの醸造用搾袋や、染色用の型紙などの生産道具に用いられていたといわれています。もっと身近で私たちがイメージしやすいものでいえば、和傘や渋うちわ、漆器などがあります。物品だけでなく、柿渋は板塀や柱など、建物にも塗られていました。

日本では、戦後、化学製品が普及したため、渋柿の存在は一時忘れ去られることになったようです。とはいえ、清酒の清澄剤としては現代でも利用されています。清澄とは、酒類の製造工程において、酒類の透明度を上げたり、濁らないようにしたりするためのものです。

家庭で柿渋を作るのは難しい?

柿渋が渋柿を絞って作るという単純な方法であっても、家庭で作れるかといえば、そう簡単にできるものではなく、そもそも柿は、レモンのように絞って簡単に汁がでるほどジューシーでもないため、柿の量に対して得られる果汁はそれほど多くありません。

また、渋柿をとってから日が経つと実の中の柿渋が変質してしまう点と、とても長い熟成期間を必要とする点が、さらに家庭での生産を難しくしています。そのため、柿渋の生産は一般に渋柿の生産地とその近隣で行われており、新鮮な渋柿を多く用意できる地方ほど盛んに行われている傾向があります。

柿渋は、熟す前の夏に収穫した渋柿を、へたを取って砕き、細かくした上で搾汁します。

搾り出した果汁は、ろ過して汁液だけを取り出し発酵させます。搾汁の前またはろ過の前に水を加えることがあり、そうすると柿渋としては薄くなりますが、粘度が低く凝固しにくい汁液になります。
ただし、このとき使う水は塩素の入った水道水はなじまないとされ、天然水や汲み置きして塩素を飛ばした水を使います。

ここまでの工程は、果汁の取り出しとその発酵であることから、新鮮な渋柿さえ手に入れば、家庭ではジューサーを利用したり、砕いた渋柿を目の細かい布に入れて搾ることでも、柿渋を得ることは可能です。そのままでは不十分で、さらに不純物が沈殿するのを待って、上澄みを柿渋として使います。

そこで完成ではなく、この段階から1年以上の時間を掛けて熟成させ、ようやく柿渋として出回ることから、すぐに使いたくても自分で渋柿を搾って作るということにはならないのです。

柿渋は古いものほど良いとされるのですが、管理されない長期保存では、簡単に劣化していしまいます。柿渋は鉄と反応して黒く変色することから、ポリ容器やビンなど反応しない容器が必要です。

ちなみに、青い渋柿の実を使うので、搾りたての柿渋は淡い緑色ですが、発酵・熟成が進むにつれて赤褐色や茶褐色になり独特の臭気を放っていきます。また、柿渋が衣服に付くと、はじめは目立たなくても乾くと色が付いて洗っても落ちなくなります。家庭で作るときは、汚しても大丈夫な衣服を用意しましょう。

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