干し柿は、そのままでは渋くて食べられない渋柿を用いて作られます。作る過程で乾燥させることにより、渋柿のタンニン(渋味のもとで、カキタンニンとよばれる)が水溶性から不溶性に変わることで渋みが抜けます。また、渋みが除かれることで甘味が強く感じられるようになります。
干し柿は非常に甘く感じますが、その甘さは砂糖の1.5倍とも言われます。
甘柿は乾燥させずに生で食べるため、風味や食感が干し柿とは大きく異なります。このため、柿は苦手であるけれども干し柿は好きだという人もいます。逆に干し柿は苦手だと言う人もいます。
甘柿は渋柿とは違い渋抜きをせずに食べられる半面、糖度では干し柿と比べて大幅に劣ります。
また、意外な事実ですが、甘柿を干し柿にしても、渋柿から作った干し柿ほどに甘くなることはありません。干し柿の表面についている白い粉は、柿の糖分が結晶化したものです。マニトール、ぶどう糖、果糖、ショ糖から成る結晶であり、漢方医学ではこの結晶を柿霜(しそう)と呼んで生薬とします。
干し柿の魅力は他にもあります。柿に含まれるカロチン生の状態でも豊富に含まれていますが、乾燥して干し柿になる過程で濃縮され、生の状態の3倍以上に増加します。
また、干し柿は固い食感であるため、よくかんで食べることで唾液の分泌を促し、脳の満腹中枢を刺激するため、満腹感を感じやすい食品です。このためダイエット効果の高い食品としても知られています。